近寄るな! ブラック企業の特徴と見分け方

転職を考えて求人サイトを見ていると、改めていろんな企業があるのがわかります。入りたい企業の条件は人それぞれだとしても、ブラック企業だけは避けたいですよね。でも求人サイトを見ていてもブラック企業かどうかを見分けるのは難しいです。

ブラック企業と言っても人による感じ方もあるので、何をもってブラックと判断するのかは難しいところです。後悔しない職場を選ぶためには、ブラック企業の特徴を理解しておいて損はありません。

この記事では、これまでアルバイトや派遣を含めると約20社で仕事をした経験がある僕が、実体験も踏まえて、ブラック企業の特徴や見抜く方法についてお話します。これから転職を考えている人はぜひ参考にしてください。

目次

ブラック企業には近づくな

ブラック企業の定義

ブラック企業と言っても、しっかりとした定義はありません。

参考:「ブラック企業」ってどんな会社なの?

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。

また「ブラック企業で働いていた」という人の話を聞いても、「それってブラックか???」と思うことも少なくありません。

以前僕が面接した人は、直前まで働いていた会社のことを「ブラックな会社でした」と憤慨して話してくれました。だけど、よくよく聞くと、急に旅行に行きたくなって、突然2週間の有給を申請したら、渋られたってことでした。渋られたというのも、取得理由と時期変更できないのかを相談された程度で、結局は認めてくれたそうなので、むしろホワイトなんじゃないのって思いました。

逆もまた然りで、「それブラックでしょう」と思う企業でも、「いい会社です」っていう人もいます。

僕が以前働いていた飲食店では、ほぼ全員に対して強制的なサービス残業が当たり前だったんですが、アルバイトリーダーはいつもにこにこしながら「いい職場でしょう」って言っていました。

人の感じ方を基準にすると、人それぞれで感じ方が違うのは確かです。

好きな人に追いかけられると「情熱的」って思うけど、嫌いな人だと「ストーカー」と感じるのと似てますね。

入ってみないとわからない

就職は結婚と同じで、やってみないと分からないとよく言われますよね。知らんけど。

実際、僕自身が入社する前に抱いていたイメージと違う職場は結構ありましたし、退職した人の話を聞くと、「思ってたんと違う」という理由をあげる人は少なくありませんでした。

会社の企業理念や面接担当の言うことを信じても、職場で一緒に働く人がどんな人なのかまでは分かりませんよね。

人間関係というのは、いざ一緒に働いてみて、初めて感じることが多いです。そういう意味では大好きで結婚したはずなのに、離婚する夫婦と似ているのでしょうね。

退職者のほとんどは当たりさわりのない理由を告げて辞めていくケースが多いけど、本当の退職理由は「人間関係」というのが一番多いようです。

参考:3700人に聞いた「退職の報告」に関する調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー

会社に伝えた退職理由第1位は「新しい職種にチャレンジしたいため」。伝えなかった本当の理由第1位は「職場の人間関係が悪いため」

感じ方も人それぞれだし、入ってみないと分からないこともたくさんあるのだけど、どうせならすぐ辞めたくなるような職場は避けたいですよね。

いい職場で働きたいけど、それも実際働いてみないと分からないので、せめてブラック企業だけは避けていきましょう。

ブラック企業の避け方

転職活動する際に、注意して欲しいことのトップとなる、「ブラック企業を避ける方法」についてお話します。方法は3つあると思います。

  • 求人票で分かる特徴5つをチェック
  • 他人からの情報を収集する
  • 転職エージェントを活用する

それぞれ詳しく説明します。

求人票で分かる特徴5つをチェック

ブラック企業の特徴としては、長時間労働が常態化していたり、残業代が未払い、ハラスメントが横行しているなど、いろいろありますが、入る前だとなかなか分かりにくいですよね。

オフィスビルに行って、夜中まで電気が点いてるから長時間労働しているかもしれない、なんて調べるのは大変です。

なので、ここでは求人票で見分けられる特徴を紹介します。

その1 頻繁に採用している

「この企業、先月も募集してたなぁ」と思ったことはないですか。あるいは、「いつでも募集中」とか記載されていたら、この企業は危険信号です。

離職率が高いと、人が不足している状態になりやすいので、しょっちゅう募集することになります。人が定着しないというのは、何か原因があるのでしょう。それこそ、長時間労働が常態化していたり、ハラスメントが横行していたり、組織に何かしらの問題があるという可能性が高いと言えます。

人不足→従業員が疲弊→退職者・休職者が続出→人不足、という負のスパイラルにはまってしまっていると、よほどの改革者が現れたとしても、脱出するのは相当の時間がかかるでしょう。

業界や雇用体系によっても異なりますが、正社員の場合、離職率は20%を超えると注意が必要です。

つまり、100人規模の企業で、年間で20名以上の募集をしているようであれば、警戒した方がいいでしょう。

その2 採用基準が低すぎる

「業界未経験可」とか「学歴不問」などは結構見かけますが、「書類選考なし」「誰でもできるお仕事です」っていうのは、ちょっと怪しくなってきます。

採用が全然うまくいかないから、誰でもいいから欲しいというのが透けて見えます。少なくとも人気のある企業だと、書類選考もせずに採用するってことはないはずですよね。

かつて僕が働いたコールセンターでも、人が採用できなくなると、どうにか人を集めるために、どんどん採用基準を低くしていきました。履歴書不要の手ぶら面接とか、WEB面接とか、とにかく簡単に応募しやすくしたし、本当は採用したくないけど人が足りないよりましかもしれないという「チャレンジ採用」というのを増やしました。

こういう採用の仕方をすると、従業員の質が低下し、コンプライアンス違反するような従業員が増えて、企業にとっていいことはなかったというのが実感です。

日本は全国的に労働者不足になってきて、採用競争が激化しているので、基準を下げたからブラック企業だということでもないかもしれません。ただ中途採用というのは即戦力がほしいので、未経験者でもいいというのはよほど人気がないのでしょう。誰でもできる仕事というのはいずれAIでもできてしまう可能性もありますし、避けたほうがいい仕事の可能性が高いと言えるでしょう。

その3 報酬が異様に高い

優良な企業であればこそ、給料が高い傾向にあるのは確かです。優秀な人材がそろって、安定しているので、効率よく稼ぐことに成功しているからでしょう。

ですが、「この企業って結構最近できたんじゃないの?」とか「この業界って、そんなに儲かるんだっけ?」と思うような企業が相場よりも高い給料で募集していると、ちょっと疑った方がいいでしょう。

高い理由として、業績給や固定残業代が含まれた金額を提示しているケースが多いんじゃないでしょうか。例えば、給料50万円と募集広告に記載されていた場合、実態は営業などで一定のノルマを達成した場合であったり、みなし残業時間が設定されているというケースです。

広告の中に小さく但し書きがされているようであれば、まだ救いがあると思いますが、何も条件などが記載されていないのに、異様に高い給料設定はやはり怪しむべきでしょう。

そのような企業は、高いノルマが設定されていたり、みなし残業時間よりもはるかに長い残業時間を強いられたうえに、みなし残業時間を超えた残業代を無視されるようなこともあり得るでしょう。

その4 あいまいな言葉が多い

皆さんは、評価面談などの自己アピールする必要がある場面で、客観的なデータでアピールできない場合、どうやってアピールしますか?

おそらく、一生懸命やりましたとか、元気よく対応しましたが、仲間と協力して頑張りましたとか、雰囲気でアピールするしかないですよね。

企業も同じです。企業の広告で「未来」「やりがい」「挑戦」「アットホーム」「笑顔」「夢に向かって」みたいなワードはよく目にします。もしそのような精神論だけしか提示していなければ、ほかに示せるアピールポイントがないのかもしれません。

転職者からすれば、業務内容や福利厚生制度、報酬体系、平均残業時間、年間休日日数などの具体的な内容を知りたいわけです。なのに、仕事のやりがいや熱意などを誇張し、具体的な内容を出さないのは、不都合な真実を隠している可能性があります。

その5 社名がコロコロ変わる

ブランド価値を築いた企業だったら、社名を変えたくはないはずですよね。合併したり、経営陣を刷新して新しくスタートしようとしたり、大きな方針転換をする場合など、変える必要がある場合ならともなく、なんのために社名を変えたのか分からないし、数年の内に2回も3回も変更している企業は要注意です。

それこそ、悪い噂が広がって、ネット上でもブラック企業として検索で引っかかるようになったとか、違法行為で摘発されたとか、何かしら以前の社名を隠そうとして変えている可能性があります。

オフィシャルホームページで、その企業の歴史や沿革を確認し、不自然な点がある場合は近寄らないほうがいいでしょう。

他人からの情報を収集する

求人票から分かる注意点をチェックしたら、次のは他人のブラックリスト判定を参考にしましょう。

ここでは参考にする情報を4つ挙げてみます。

ブラック企業リスト

正式名称は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」といいますが、厚生労働省が公表しているいわゆるブラック企業リストなるものがあります。

厚生労働省のホームページ上で、企業名、所在地、法令違反の事案概要などが掲載されているので、誰でも確認することが可能です。

公式にブラックな会社として認定されている企業になるので、就職しようとしている企業が掲載されていないかぐらいは確認しておいた方がいいでしょう。

就職四季報のチェック

就職四季報は、東洋経済新聞社が発行する、就活生に役立つ企業情報が掲載されたデータブックです。企業の業績や採用実績、働き方などの情報が掲載されており、就活序盤の志望企業探しや選考試験対策に活用できます。

記者が一社一社を独自に取材し、会社パンフレットやホームページに掲載されている宣伝のような情報ではなく、データに裏付けされた中立的・客観的な情報を掲載しています。会社から掲載料はもらっていませんので、信用できるデータだと思います

「3年後離職率」「残業時間数」「有給取得日数」など、他の就職情報誌では見ることができない重要な情報が載っているので、求人票では確認できない情報も確認することができます。

クチコミのチェック

実際に働いていた人から話を聞くのが一番なのですが、友人からの紹介ならいざ知らず、自分が転職活動して見つけた会社に、都合よく話を聞ける人などいないのがほとんどですよね。

なので、せめてクチコミサイトを確認しておきましょう。

転職会議」や「Open Work」などのサイトが有名です。

もちろん、人と人との関係と同じで、人と企業との関係にも相性や反りが合う・合わないがあるので、情報をすべて丸のみするのは危険です。実名ではないこともあって、不正確な情報も混じっていることを理解して、全体的に目を通すくらいでいいと思います。

悪い情報がたくさん書かれているようであれば、それなりの理由があるので、参考にはなるでしょう。

企業名で検索する

ヤバいキーワードと企業名をセットで検索してみると、検討していた企業がヒットするなんてこともあります。

ヤバいキーワードというのは、例えば、「違法」「違反」「不正」「不祥事」「起訴」「送検」「逮捕」「訴訟」「起訴」「裁判」「処分」⋯⋯などなどです。

もしヒットした場合は、必ずヒットした記事の内容を確認しておきましょう。

過去に法令違反を行って、処分を受けている企業は要注意です。不正を行う企業はそれが文化になっている可能性もあります。

処分を受けて是正する企業もありますが、不正の実行者は役員や管理職が多いことから、一度不正をした企業は繰り返す傾向にあるようです。特に大企業や歴史のある企業では感覚が麻痺しやすく、一部の人が企業文化を変えようと思ってもなかなか変わりにくいのが現実ですね。

転職エージェントを活用する

転職活動をする時、転職サイトや転職エージェントを活用する人が多いと思いますが、転職エージェントを使った方がブラック企業に合う確率が低いです。

というのも、転職エージェントの場合、採用したら企業が紹介料を払う仕組みになっているからです。紹介料は安くありません。高いコストを払ってすぐに辞められると非常にもったいないですよね。なので、転職エージェントを使っている企業は、人材を大事にする意識が高く、ホワイト企業である率が高いのです。

採用活動にお金をかけるのは、人材に投資する気持ちがあるからですよね。その気持があって、ちゃんと利益が出ているから高いコストをかけて、いい人材を採用しようと思うわけです。

逆に、人材に高い投資をしようとしない企業はそもそも高コストになる転職エージェントを使っていないケースが多くなります。

構造的な問題からも、転職エージェントの活用はおすすめできます。

もしブラック企業に入ってしまったら

ブラック企業に入社してしまったと気づいたら、健康被害が出ないうちに、退職すべきです。もしすでに少しでも体に異変を感じていたら、できるだけ早く逃げるべきです。

ブラック企業に明るい未来はないし、人材を大事にしない企業で社員自身が成長することもないので、居続けるメリットは何もありません。

しかし、何かしらの理由ですぐに辞められない人がいるのも確かです。

いろんな理由があると思いますが、体を壊してしまうと、元も子もありません。転職活動については、別途解説しますが、まずは退職する方法を検討してみましょう。

ブラック企業を辞める方法

ブラック企業でも、できるだけ無難かつスムーズに退職する方法を解説します。

退職届を内容証明郵便で送る

原則として労働者には退職の自由が認められていて、会社側の都合で退職届の受理を拒むことはできません。

しかし、ブラック企業は事実上、受理を断ってくるケースがあります。そのような会社ほど採用が難しい状況にあり、折角入社した人材を手放したくはないのです。

中には、退職の意向を伝えた事実をなかったことにしようとする企業すらあります。

会社が受理しなくても、退職届が到着しさえすれば退職は可能です。なので、退職届が届いたことの証拠を残しておきましょう。その証拠の確保のためには、内容証明で送るのが有効な手となります。

内容証明に合わせて「配達証明」を付けると、いつ、文書が到着したかも記録されます。この組み合わせを「配達証明付き内容証明」と呼び、郵便局が証拠を保存してくれる方法です。

自分に退職したい意思があるという証拠が残るため、「聞いていない」などと誤魔化されるのも防げるでしょう。

退職代行サービスを利用する

退職代行サービスとは、退職の手続きを自分の代わりに行ってくれるサービスです。

どうしても退職を言い出しにくいという場合には、退職代行サービスを利用するのもよいでしょう。

退職届を提出しても、絶対に引き止められる。強引に引き止められたら、断る自信がない。そうやって、なかなか思い切りがつかない人は、さっさと退職代行サービスに頼んで、すっきりした方がいいです。

ただ、退職代行サービスを利用するときは、業者選びに注意をしてください。

退職の意思を勤務先に伝えるだけであれば、弁護士資格のない一般業者でも対応可能です。
ただ、勤務先から退職の時期や条件に関して協議や交渉を求められたときに、弁護士資格のない一般業者では対応することはできません。
そのため、協議・交渉もカバーしている労働組合が運営、または弁護士が運営する退職代行サービスを利用するのがおすすめです。

弁護士に依頼する

スムーズに退職したいという方は、弁護士への依頼がベストです。

弁護士に依頼すれば、未払いになっている残業代や給与も請求できます。

同時に退職代行を依頼したいという場合も、非弁のリスクなく、有給消化や未払い賃金などについて会社と交渉することができます。

また、勤務先から損害賠償を請求されてしまうといった、法的トラブルに発展した場合でも、弁護士であれば対応が可能です。

ホワイト企業の7つの特徴

ブラック企業を避けるためにも、ホワイト企業の特徴を知っておいた方がいいでしょう。ちなみに、ブラック企業の真逆の特徴になります。
ホワイト企業の具体的な特徴は主に次のような点です。

ホワイトブラック
離職率低い。
職場環境がいいことを表しています。
高い。
残業時間少ない。
ワークライフバランスがとりやすく、従業員の心身の健康やモチベーションの維持につながります。
多い。
福利厚生充実している。
雇用保険や健康保険など社会保険料を企業が負担する法定福利厚生だけでなく、各種休暇制度や住宅手当、勤務制度など、企業独自の福利厚生が充実していると、働きやすい環境づくりに積極的だといえます。
不十分。
コンプライアンス遵守を徹底している。
企業全体としてコンプライアンスに関する意識が高く、またそのための教育制度も整っています。コンプライアンスを徹底することで、企業や従業員が守られ、企業の健全な発展につながります。
遵守意識が低い。
評価制度明確。
自分の働きがどのように評価され、昇給や昇格に反映されるのかが明確になっていれば、従業員は自身のキャリアプランを立てやすくなり、目標意識を持って意欲的に働けます。
あいまい。
人材育成長期視点で育成。
従業員が長期的に勤務することを前提に人材育成・教育制度が構築されているため、能力やスキルを向上させる仕組みが整っています。
使い捨て。
給料支払適切に支払われている。
適切な額の給料を遅滞なく支払う能力があるということは企業が安定し、また従業員を大切にしていることを意味します。
未払い・誤払いが多発

これらの特徴により、従業員の働きやすさと企業の安定的な成長が両立されています。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

本記事では転職活動する際に、求人票などから、ブラック企業を見分ける方法を解説しました。

残念ながら日本にはたくさんのブラック企業があります。そして、ブラック企業ほど真実を隠して、一見魅力的な会社に見えてしまうことがあるのも否めません。

しっかり見極めれば、ブラック企業かどうか転職活動の時点でも見分けられます。

今回紹介したポイントを押さえて、ブラック企業から上手く逃げていきましょう。

▼本記事のまとめ

  • 明確な定義はないが、ブラック企業を避けるべき。
  • 求人票からブラック企業を見分けられる特徴は5つ
    ・頻繁に採用している
    ・採用基準が低すぎる
    ・給料が不気味に高い
    ・雰囲気だけでアピール
    ・社名がよく変わる
  • 他人からの情報を収集する
    ブラック企業リストや就職四季報、クチコミなどを活用して、他人からの情報を参考にしよう。
  • もし今ブラック企業にいることに気づいたらすぐ辞めるべき。
    辞め方は、内容証明で退職届を提出、退職代行サービス、弁護士など、自分に合った方法を選ぶ。
  • ホワイト企業の特徴を知って、ホワイト企業への就職を目指そう。
    ホワイト企業はブラック企業の真逆。

僕も何度も職を変えてきましたが、間違ってブラックな企業に就職したことがあります。若いころだったので、まだなんとかなりましたが、家庭を持って、子供もいたら、なかなか辞める勇気が持てなかったかもしれません。
いい職場を探すためにも、最低限ブラック企業には近づかないようにしてください!

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